【経営管理ビザ】厳格化した新要件の下で新たに申請するときの注意点

経営管理ビザは、日本で会社を設立・運営する外国人にとって不可欠な在留資格です。
2025年10月の改正により要件が大幅に厳格化され、従来よりも高い水準の準備が求められるようになりました。
この記事では、新要件で申請する時の注意点について解説します。
改正の理由
経営管理ビザは、このビザをもつ外国人が「事業の経営又は管理に実質的に参画しているか」「事業所や事業規模が要件に合っているか」が大変重要です。
しかし、経営実態のないペーパーカンパニーを申請して日本に滞在する外国人が増えているとの指摘があり、このたび要件の改正が行われました。
新要件と対応のポイント

要件の改正により、外国人申請者に求められる条件は、資本金(金額の引き上げ)、雇用義務、日本語能力、学歴・経歴要件、事業計画の専門家評価など、従来よりも多岐にわたります。
(参照:入管のサイト)
常勤職員の雇用
○外国人申請者が営む会社等において、1人以上の常勤職員を雇用することが必要になりました。
日本人または永住者等を、1名以上、常勤雇用することが義務化されました。
「常勤の職員」とは・・・(参照:入管のサイト。Q&A, 問3)
・休日等を除き、毎日所定の時間、その勤務に従事する者。
・職務に応じた給与等が設定されていること。
・労働日数が週5日以上、年間217日以上であること。週労働時間が30時間以上の者。
・入社日から6か月以上継続して勤務し、一定の年次有給休暇を与えられること。
・雇用保険の被保険者であり、1週間の所定労働時間が30時間以上であること。
雇用契約書や住民票などを入管に提出します。
また、社会保険の適用事業所は、社会保険の加入手続きが必要です。
資本金・事業規模
○3,000万円以上の資本金等が必要になりました。
株式会社 ・・・資本金の額
合同会社等・・・出資の総額
個人事業 ・・・事業準備金等の投入総額
資本金要件は従来の500万円から3,000万円以上へと大幅に引き上げられました。
これは、日本での事業継続性を担保するための措置です。
3,000万円の資本金を確保するため、投資計画や資金調達方法を早めに検討しましょう。
また、国の規制により、日本への送金が困難なケースがあるため、送金方法の確認も重要です。
日本語能力
○外国人申請者⼜は常勤職員のいずれかが、相当程度の⽇本語能⼒を有すること
日本語能力B2(JLPT N2)相当以上であることを証明する必要があります。
常勤職員が日本人である場合は、住民票等を提出して、日本国籍であることを証明します。
日本語能力は、日本での生活や、事業運営上に不可欠であるという考えから、新たに設けられた要件です。
経歴(学歴・職歴)について
○外国人申請者が、経営管理⼜は日本で行う事業に関係する博⼠、修⼠若しくは専門職の学位を取得していること、又は、事業の経営か管理について3年以上の職歴があること
学位証明書や履歴書を入管に提出します。
事業計画書について
○事業計画書について、専門家(中小企業診断士、公認会計士、税理士)による事業計画の確認を受けること
事業計画の具体性、合理性、実現可能性を専門家から評価を受けることが義務付けられました。
以上のような、新要件を確認し、要件を充たすことができる場合には、申請の準備を開始しましょう。
申請の準備

日本で新しく会社を設立して事業を開始するために経営管理ビザを申請する場合の手順をご紹介します。
事業計画を立てる
事業計画は非常に重要です。
日本での事業について、次のようなことを計画します。
・どのような事業を行うか(日本の許認可は必要か)
・会社の役員や社員のそれぞれの役割
・役員報酬、給与、事業所家賃等の経費はどれくらい必要か
・資本金(3千万円以上)はどのように用意するか
・どのように売上を立て、事業を継続していくか
事業計画は、初めは簡単に作成して、入管への申請までに具体的な内容の事業計画書として完成させます。
完成後、専門家による評価を受けます。
会社を設立する
株式会社の場合は、次の手順で設立します。
定款の作成 → 公証役場で認証 → 資本金の払込 → 法務局で設立登記
海外在住の外国人が会社の登記を行うときは、サイン証明が必要です。
公証書、声明書、宣誓供述書などがこれにあたります。
居住国にある公証役場などで、公証人の前でサインと押印をして、氏名と住所と一緒に証明してもらう書類です。
必要書類の整備と収集
経営管理ビザの申請書類は、入管のサイトに記述がありますが、少し補足でご説明します。
・資本金の出所の証明書
資本金は、自己資金、借入、贈与など、いろいろなケースがあると思います。
どのようにして資本金を用意したのかについて、入管に証明するための書類も提出します。
銀行間の送金証明書に加えて、申請者の収入証明書や、借入や贈与に関する契約書(金銭消費貸借契約書など)です。
・事業所の確保の証明書
事業所を借りて事業を行う場合は、賃貸借契約書を提出しますが、事業を行うことが許可されていることが明記されている必要があります。
なお、⾃宅を事業所と兼ねることは、原則として認められません。
入管へ申請
提出書類の準備が終わったら、入管へ申請です。
申請後、入管による審査が始まりますが、現在の審査期間は4~6か月程度ですが、改正したため、さらに時間がかかる可能性があります。
経営管理ビザを取得するまでは、日本に滞在して事業の経営を行うことはできませんので、注意してください。
まとめ
経営管理ビザの要件は、改正により、資本金(金額の引き上げ)、雇用義務、日本語能力、学歴・経歴要件、事業計画の専門家評価など、従来よりも多岐にわたります。
日本国内での協力者と力を合わせて、しっかりと準備をして、日本での事業成功のために前進してください。
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