公正証書遺言ってどうやって作るの?必要書類や費用は?

元気なうちに公正証書遺言を作っておこうと思っている。
どのような書類が必要?費用は?
そのような疑問をお持ちの皆さまに、遺言作成サポートができる行政書士の私がお答えします。

公正証書遺言の作成手順

手順

公正証書遺言は、証人2名の立ち合いのもと、遺言を残す人(本人)が公証人に遺言の内容を口頭で話して、公証人に遺言を作成してもらうものです。
法律の専門家である公証人が、遺言の形式や内容を確認・検討して作成してくれるので、相続財産の争いになりにくい遺言を作成することができます。

まず、公正証書遺言の作成の手順について、ご説明します。
日本公証人連合会のHPを参考にしています)

<1>必要書類の準備

必ず準備するもの

・遺言を残す人(本人)の確認資料
(以下のどれか一つ)
 印鑑登録証明書、運転免許証、住民基本台帳カード(住基カード)等の顔写真が入った公的機関の発行した証明書

・本人と相続人との続柄が分かる戸籍謄本
 ここでいう相続人とは、民法で決められている「法定相続人」のことです。
 配偶者と子供がいる場合は、配偶者と子供が「法定相続人」になり、その他の人は「法定相続人」にはなりません。
 以下の記事をご参照ください。

・金融資産の資料(通帳のコピーなど)

「相続人以外の人」に財産を残す場合に準備するもの

・該当する「相続人以外の人」の住民票

財産の中に不動産がある場合に準備するもの

・不動産の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)

・固定資産税納税通知書 または 固定資産評価証明書

本人が証人2名を決める場合に準備するもの

・証人の名前、住所、生年月日、職業をメモしたもの

(証人になれない人)
推定相続人、相続人以外で遺産をもらう人、それらの配偶者、直系血族等の利害関係人、未成年者等

※証人の手配は、専門家や公証役場に依頼することが可能です。

本人が遺言執行者を決める場合に準備するもの

・遺言執行者の住所、職業、氏名、生年月日がわかるメモ

(遺言執行者になれない人)
 未成年者、破産者

※遺言執行者は、専門家に依頼することが可能です。

なお、準備する書類は、相続人や相続財産を説明するための詳しい資料等が追加で必要となる場合がありますのでご注意ください。

<2>案文の作成

遺言の内容を公証人に伝える前に、どういった内容の遺言にしたいのか、「誰に」「どの財産を」残したいのかを考えて、案文を作成します。

公証人に遺言書を作成してもらう際は、必ず口頭で伝えなければいけないわけではなく、本人の思いをまとめた案文などを公証人に渡して、作成してもらっても問題ありません。

案文まで作成しない場合でも、メモ書きでもいいので用意しておくと公証人とのやりとりがスムーズになります。

案文の作成は、専門家へ依頼をすることも可能です。

<3>公証人との打ち合わせ

公証人との初めての打ち合わせです。
専門家に依頼することも可能です。

(打ち合わせに持参する書類)
 ・手順1の必要書類すべて
 ・手順2で作成した案文など
 ・その他、相続人や財産を説明する書類

このときの打ち合わせの内容をもとに、公証人は案文を作成します。

<4>費用の確認

公正証書遺言の作成手数料は、相続財産の金額によって異なります。
たとえば、相続財産が、3,000万1円~5,000万円であれば、手数料は29,000円となっています。
日本公証人連合会HP

病気や高齢等を理由に公証役場に行くことができない場合は、公証人に、病院やご自宅、老人ホーム等に来てもらうことも可能です。
その場合には、「手数料の50% + 公証人の日当・交通費」の支払いが追加で必要になります。

なお、専門家へ依頼した場合はこの手数料とは別に報酬の支払いが必要になりますので、依頼先へ確認をしてください。

<5>公証役場で公正証書遺言を作成

打ち合わせの後に公証人が作成した案文を、公証人が遺言の内容を読み上げます。
本人、証人2名とで確認をします。

問題がなければ、本人、証人2名が署名捺印をします。
そのあとで、公証人が署名捺印をします。


これで公正証書遺言は完成です。
公証人に遺言の形式や内容を確認してもらえるので、実際の相続手続の時に争いが起こりにくい遺言です。

遺言を作成した後

あなたへの手紙

遺言の保管

遺言の作成が完了すると、公証役場が、遺言の原本、正本、謄本を用意します。
(このとき、1枚あたり数百円の費用が発生します)

原本

1枚しかない、オリジナルの遺言書。
公証役場で保管されます(保管に費用はかかりません)。

正本

原本と同じ効力をもつ「写し」のこと。
相続手続のときに、使います。
紛失してしまった場合には、公証役場で再発行してもらうことができます。
一般的に、本人または遺言執行者が保管します(※)。

謄本

原本と同じ効力をもたない「写し」のこと。
遺言の内容の確認が主な目的です。
相続手続の際、謄本では受け付けてくれない場合があります。
一般的に、本人が保管します(※)。

※本人が銀行等の貸金庫に保管する場合は、以下のいずれかを遺言に記しておくことが重要です。
 本人が亡くなったあと、相続人全員の同意をとらないと貸金庫を開けられない事態を避けるためです。 
 ①貸金庫の使用権の相続人の名前
 ②遺言執行者の仕事の内容に「貸金庫の開扉」を加える 

遺言の訂正や取り消し

遺言を作成した後、状況が変わることもあると思います。
そのときは、いつでも、遺言の内容を訂正したり、全部または一部を取り消したりすることができます。
(費用は、訂正の程度や内容によって異なります)

元気なうちに遺言を作成しておいて、状況が変わったら変更できるので、安心です。
しかし、訂正には時間と費用がかかりますので、注意してください。

亡くなった後

協力

相続人が公正証書遺言の存在と内容を知る方法

本人が亡くなった後に公証人役場から相続人に通知がいくという制度はいまのところありません。
よって、公正証書遺言の存在を本人から相続人が聞いていなかった場合は、相続人が遺言書の有無を調べます。

最寄りの公証役場の「遺言検索システム」を利用します。
相続人等の正当な利害関係人は、遺言の有無の照会ができます。
(この「遺言検索システム」は、遺言を残した本人が亡くなった後しか利用できないシステムです。)

遺言があることがわかった後、遺言を実際に作成した公証役場に行けば、公正証書遺言の写し(正本)を再発行してもらうことができます。

相続の手続きの開始

遺言書の内容にもとづいて、相続の手続きが行われます。

遺言で遺言執行者が指定されている場合は、遺言執行者が、遺言の内容が実現するための手続きをします。
遺言執行者は本人が亡くなった後でも指定できるので、指定されていない場合でも、遺言執行者をすると、相続の手続きがスムーズに行えます。


※相続の手続きの詳細は、別の回でご説明します。

まとめ

今回は、公正証書遺言の作り方について説明をしました。

ポイントは以下のとおりです。

・公証人に遺言の形式や内容を確認してもらえるので、実際の相続手続の時に争いが起こりにくい

・原本は公証役場で保管してもらえるので安心だが、自分で預かる正本や謄本の保管場所は、亡くなった後に相続人などがすぐに取り出せるように遺言に記しておくこと

・公証役場の「遺言検索システム」で公正証書遺言の有無がわかり、遺言の写しも交付してもらえる

元気なうちに遺言を作成いておくことで、亡くなった後の家族の負担を減らすことができます。
以下の記事も参考にしてください。