確定日付の取り方。文書だけでなく、製品や電子データにも付けることができる。
自分で発明した製品や技術が、今日この日に存在していたことを証明する方法はないだろうか。
将来、人より先に考えついたことを証明したい場面に出くわすかもしれない。
公証役場で確定日付を取ることで、それを証明することができます。
文書だけでなく、製品等のモノや電子データにも確定日付を取ることができます。
書類やデータの作成をサポートする行政書士の私がご説明します。
公証役場と確定日付
公証役場で、法定の効果を伴う公権力による証明をすることを公証制度といい、公証役場で提供する事務を公証事務といいます。
たとえば、契約書や遺言書を、公証人が確認して公正証書にすることは、公証事務の一つです。
文書の証拠力が高まります。
そして、公証役場が確定日付印(日付のある印章)を文書に押すことも、公証事務です。
その日にその文書が存在していたことが公に証明されます。
確定日付の取得は、公正証書とは異なり、内容の真実性についてを証明する効力はありません。
しかし、自分で発明した製品や技術が、確定日付印を押された日に存在していたことが証明されますので、将来、人より先に考えついたことを証明する方法になり得ます。
確定日付印のサンプルはこちらです。(熊谷公証役場サイトより)
次に、確定日付の取り方をご説明します。
確定日付は、文書だけでなく、製品や電子データなどにも付けることができます。
確定日付の取り方
確定日付は公証役場で付与され、手数料は、一件700円です。
資料(紙)への確定日付の取り方
技術や製品に関連する資料(紙)を一式にまとめて、袋とじにして、確定日付を取ることができます。
手順です。
(1)同一の技術や製品に関する資料(紙)を一式にまとめる(ひも付け)。
(2)内容物についての簡単な説明文を記載した表紙(私署証書。作成者の署名又は記名押印のあるもの)を付ける。
(3)ホチキスで綴じ、テープなどを使って袋とじにする。
(4)公証役場で、確定日付印を押してもらう。押す場所は、表紙(押印)、表紙と製本テープの継ぎ目(契印・割印)など複数個所。
(図:特許庁冊子「先使用権」より一部加工)
モノや記憶媒体への確定日付の取り方
製品などのモノや、映像や実験データ等が入ったDVDやUSB等の記憶媒体にも確定日付を取ることができます。
手順です。
(1)封筒や段ボールに入れて封印する。
(2)内容物についての簡単な説明文を記載した表紙(私署証書。作成者の署名又は記名押印のあるもの)を貼る。
(3)公証役場で、確定日付印を押してもらう。押す場所(押印および契印・割印)は、表紙、表紙と封筒や段ボールの継ぎ目など複数個所。
公証役場によっては、さらに封筒の継ぎ目に作成者の認印を押すことを推奨する場合もあります。
(図:特許庁冊子「先使用権」より抜粋)
電子確定日付
電子文書に付ける確定日付を電子確定日付といいます。
公証役場に行かなくとも、ご自宅や会社のパソコンから、電子データに確定日付を取ることが可能です。
ちなみに、2020年8月3日に、電子確定日付センターが開設されましたが、電子確定日付は、当センターに指定された6つの公証役場以外でも受け付けられています。
※量の多い電子確定日付付与の申請は、電子確定日付センターの利用が推奨されています。
電子確定日付の利用条件です。
(1)法務省「登記供託オンライン申請システム」申請⽤総合ソフトをダウンロードしたパソコンから申請すること
(2)対象となる電子ファイルは、テキスト形式、PDF形式、XML形式で保存されたもの
(3)1申請あたり、1文書10MB以下のものを、50件まで。(つまり、最大500MBまで。)
対象となる電子ファイルがこの条件より大きい場合は、上で紹介した、封筒にDVDなどの記憶媒体を入れて確定日付を付与してもらう方法を取ります。
なお、電子確定⽇付の対象となるPDFファイルには「確定⽇付印」のような表⽰は記載されません。
その代わりに、3つのファイル(⽇付に関する情報を記録したXMLファイル、その他の情報を記録したXSLファイル及びPDFファイル)で電⼦公⽂書が構成されます。
(参照:日本公証人連合会サイト)
まとめ
今回は、確定日付の取り方について、書きました。
ポイントです。
・確定日付を取ることで、自分で発明した製品や技術が、確定日付印を押された日に存在していたことが証明されるため、将来、人より先に考えついたことを証明する方法になり得る。
・しかし、確定日付の取得は、公正証書とは異なり、内容の真実性についてを証明する効力はないことに注意する。
・文書だけでなく、製品等のモノや実験データ等が入った記憶媒体も確定日付を取ることができる。
確定日付を取得したい場合は、公証役場や、書類作成の専門家である行政書士に相談できます。
資料やデータの作成者本人ではなく、代理の人が公証役場で手続きすることもできます。