会社の定款の事業目的を変更するために必要な手順や手続きについて知りたい

定款の変更の仕方について

新しい事業を始めるにあたり許認可を取ろうとしているが、定款に事業目的を追加しなければいけないようだ。

定款の変更は、毎年の株主総会まで待たないといけないの?

定款を変更したら、また法務局で手続きが必要?

このような疑問に、許認可の代行申請を行う行政書士の私がお答えします。

定款と事業目的

定款と事業目的

定款に必ず記載しなければならない最も重要な事項を絶対的記載事項といいます。

事業目的は、定款の絶対的記載事項です。

民法34条では、「法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う」と定められています。

また、事業目的は、会社の登記簿(登記事項証明書)に掲載され、社内外の誰もが入手可能な情報になります。

定款に記載されていない事業を行っても罰則はありませんが、定款に記載された事業を行うのが基本です。

定款の事業目的と許認可

決められた要件を充たし、役所からの許可や免許を取得しなければ行うことができない事業があります。

例として、飲食店の営業、お酒の製造や販売古物商建設業・・・等がこれに該当します。


許認可の申請の手引きには、これら対象となる事業を「定款に記載しなければならない」と明記はされていないことがあります。

しかし、実際には、許認可を申請する事業の記載がある定款や登記簿の提出を求められることが多々あります。

定款に記載のない新たな事業を始める時は、定款に事業を追加しましょう。


それでは、定款はどのような手続きで変更できるでしょうか。

定款変更の手続き

定款の変更手続きについて

臨時株主総会の開催

定款の変更を行う場合は、原則として、株主総会を開催して、その決議を得ます。

必要があるときにいつでも招集することができる、臨時株主総会を開催するのが一般的です。

事業のスケジュールに間に合うのであれば、毎年の定時株主総会(毎事業年度の終了後一定の時期に開催される株主総会)で構いません。


株主総会で決議された内容(定款変更の件)を、議事録に残します。

議事録は、法務局での変更登記に必要な書類です。

臨時株主総会の議事録のサンプルが法務局のサイトに掲載されています(こちらのファイルの5ページ目)ので、ご参照ください。


なお、会社設立時に作成した定款(原始定款)とは異なり、定款の変更時は、公証役場での手続きはありません。

変更登記

変更登記申請書に、株主総会議事録と株主リストを附けて、法務局に提出します。

会社の登記の変更は、登録免許税3万円が必要です。 

まとめ

今回は、会社の定款の事業目的を変更するために必要な手順や手続きについて、書きました。

ポイントです。

・会社が行う事業は定款に記載されていることが基本となっているため、新たな事業を行うときには、定款を変更します。

・臨時の株主総会を開催し、定款変更の決議を得て、臨時株主総会議事録を作成し、法務局で事業目的の変更登記を行います。


許認可の申請を行おうとすると、定款の変更など、提出書類の準備にとても時間がかかることがあります。

許認可を申請した後も、役所の審査に何か月も時間がかかることがあります。

新しい事業が、良いスタートを切れるよう、専門家に相談するなどして、正しい情報を収集し、許認可の申請をスムーズに行えるようにしましょう。