輸入した酒類の中身を説明するラベルの表示にはどんな決まりがあるの?表示方法の届出って何?

酒類の表示ラベルについて

酒類を海外から輸入して日本国内で販売するための免許を取得できた。

輸入する時、酒類の容器の裏に貼るラベルは税関に届け出なければいけないらしい。

ラベルには何を書いて、どのように届けるの?

そのような疑問に、許認可申請の代行を行う行政書士の私がお答えします。

表示方法の届出

初めに、酒類を輸入する酒類販売業者の免許の種類について、簡単に説明します。

酒類を輸入する酒類販売業者

酒類を輸入して日本国内で販売するには、免許が必要です。


(小売業免許)
一般酒類小売業免許・・・消費者、料飲店営業者又は菓子等製造業者に販売する場合

通信販売酒類小売業免許・・・2都道府県以上の広範な地域の消費者や料飲店営業者等に通信販売を行う場合

(卸売業免許)
輸入酒類卸売業免許・・・酒販店など酒類販売業者に販売する場合

表示方法の届出とは

酒類を輸入する酒類販売業者は、その容器や包装の見やすい箇所に、法令で定められている事項を、分かりやすい方法で表示しなければなりません。

酒類の容器の裏側(商標の裏側)にラベル表示することが一般的です。

酒類表示方法例
酒類表示方法の例(東京税関のサイトより)

この表示(ラベル貼り等)は、保税地域から酒類を引き取る時までに行わなければなりません。

保税地域とは、輸出入する際に貨物を留置きする場所です。


そしてまた、酒類を保税地域から引き取るまでに、表示の仕方や内容についての届出である「表示方法の届出」を税関に行う必要があります。


つまり、酒類の表示に関して、輸入した酒類を保税地域から引き取るまでに次の2つのことをやる必要があります。

保税地域からの引き取りまでにやること

1)表示方法の届出

以下の書類を用意して、保税地域を管轄する税関に届け出ます。

・表示方法届出書 2 部(原本・交付用) 東京税関の書類はこちら(管轄の税関サイト等ご確認ください)

・酒類販売業免許証(又は通知書)の写し 1部

(該当する場合は、「有機農畜産物加工酒類の製造方法等の基準を満たす酒類であることの証明書等」も必要です)

届出の手数料は無料です。

なお、確認を受けた表示方法届出書は、内容に変更がない限り全国の税関で有効なものとなります。


2)表示の完了(ラベル貼付)

輸入した酒類の容器や包装の見やすい箇所に、酒類の中身を説明するラベル等が貼付してある必要があります。

海外の取引先に日本への出荷前に貼ってもらう場合と、(本数が少なければ)貨物が到着してから日本の保税倉庫内で貼る場合とがあります。


次に、法令で定められている表示内容について、ご説明します。

表示する内容

表示内容を確認しましょう

全ての酒類に必要な表示

品目

内容量と品目の文字数によって、文字サイズの規定が変わります。

例えば、750ml の果実酒は、14 ポイント以上の文字で「果実酒」と表示します。

200ml のリキュールは、7.5 ポイント(※)以上の文字で「リキュール」と表示します。

※内容量が100ml 以下の場合は、食品表示基準に基づき 8 ポイント以上の文字で表示する必要があります。


内容量

「L」、「ml」、「mL」、「ℓ」、「mℓ」又は「リットル」、「ミリリットル」と表示します。


アルコール分

「度」又は「%」と表示します。


添加物

添加物に占める重量の割合の高い順に物質名、もしくは物質名及び用途を表示します。


輸入者の氏名又は名称

輸入者である酒類販売業者の氏名又は名称を「漢字」、「ひらがな」又は「カタカナ」で表示します。

ローマ字等が商業登記されている場合は、その読み方を「ひらがな」又は「カタカナ」で、併せて表示します。


輸入者の住所

「漢字」、「ひらがな」又は「カタカナ」で表示します。


引取先の所在地

酒類販売業免許証(又は通知書)に記載されている「販売場の位置」を表示します。


20 歳未満の者の飲酒防止に関する表示

「20 歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています」、「飲酒は20 歳になってから」等の表示が義務付けられています。


その他

・該当する場合は、「L-フェニルアラニン化合物を含む」旨を表示しなければなりません。

・該当する場合は、「有機又はオーガニック」の表示をすることができます。

・容器が、スチール、アルミ、PET、紙、プラスチックを材料とするものである場合は、識別マークの表示が義務付けられています。

酒類の品目によって必要な表示

酒類の品目によって必要な表示もあります。

代表的な品目について、抜粋してご紹介します。


果実酒、甘味果実酒の場合

輸入ワインの原産国名を表示します。


ビールの場合

原材料名、賞味期限、保存の方法、原産国名などを表示します。


発泡酒

「麦芽使用率○○%」と表示します。


以上の内容を、ラベル等に用意して、酒類の容器や包装の見やすい場所に表示します。

まとめ

今回は、酒類を輸入する酒類販売業者がやる必要のある、酒類の容器等への表示とその届出について、書きました。

ポイントです。

・輸入した酒類を保税地域から引き取るまでにやることは、「表示方法の届出」と「表示の完了(ラベル貼付)」。

・酒類の中身の表示は、品目・内容量・アルコール分など、法令で決められた内容を決められた文字サイズでラベル等で行わなければならない。


酒類の表示方法は、「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」や組合令、食品表示法など、様々な法令が関係しています。

ご不明な点は、保税地域を管轄する税関や、税務署、または酒類免許の代行申請を行う行政書士にご相談ください。