在留資格「技術・人文知識・国際業務」の要件の変更~日本語能力の証明書の提出が必要に。企業・外国人が知っておきたいポイント


2026年4月15日以降の申請から、在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の日本語能力に関する要件が変更されました。

外国人を採用する企業にとっても、日本で働きたい外国人にとっても、在留資格の申請要件の変更は知っておきたいところです。

この記事では、技人国の日本語要件の変更や、企業・外国人それぞれが注意したい点について分かりやすく解説します。

技術・人文知識・国際業務(技人国)

2025年末時点の日本の在留外国人数を在留資格別にみると、「永住」に次いで、「技術・人文知識・国際業務」が多く、47万人を超えています(出入国在留管理庁サイトより)。

「技術・人文知識・国際業務(技人国)」は、技術、人文知識、国際業務の3つの分野にあたる業務を対象とする在留資格です。

専門性を活かして日本で働く

システムエンジニアやプログラマー、機械設計などの技術職のほか、経理、企画、営業、マーケティング、貿易事務、通訳・翻訳など、専門的な知識や経験を必要とする仕事が対象になります。

技人国は、外国人が自分の専門的・技術的な知識を活かして日本で働くために取得する代表的な在留資格です。

技人国の在留資格の審査では、従事する業務が専門的なものであることに加え、大学や専門学校で学んだ内容や職歴との関連性も重要な判断材料となります。


また、技人国の在留資格の申請書類は、外国人の所属機関の規模により異なります。

所属機関の規模によるカテゴリー分類

出入国在留管理庁(入管)は、外国人の所属機関(勤務先等)を規模ごとにカテゴリーを1から4に分類しています。

カテゴリー1

主な対象機関は、次のような、上場企業、公的機関、高度専門職の優遇対象企業などです。

(1) 日本の証券取引所に上場している企業
(2) 保険業を営む相互会社
(3) 日本又は外国の国・地方公共団体
(4) 独立行政法人
(5) 特殊法人・認可法人
(6) 日本の国・地方公共団体の公益法人
(7) 法人税法別表第1に掲げる公共法人
(8) 高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業等)
(9) 一定の条件を満たす企業等(入管資料)

カテゴリー2

(1) 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人
又は
(2) カテゴリー3に該当することを立証する資料を提出した上で、在留申請オンラインシステムの利用申出が承認された機関 ※在留資格「経営・管理」を除く

カテゴリー3

前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)です。

カテゴリー4

カテゴリー1~3のいずれにも該当しない団体・個人です。

(以上、入管サイト>技人国>在留資格変更申請等より)


そして、2026年4月の技人国の日本語要件の変更により、申請時の提出書類が増えたのは、カテゴリー3又は4に該当する機関(会社等)に所属する場合です。

日本語要件の変更

要件の変更点

「技術・人文知識・国際業務(技人国)」は、2026年4月15日以降の申請から、主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合、業務上使用する言語について、CEFR・B2相当の言語能力を有することが必要になりました。

対象となる業務

代表的な業務は、「通訳・翻訳業務」です。
その他の例としては、「ホテルフロント業務」「法人営業」が該当します。

「技術系の業務」は基本的には対象ではありません。


CEFR・B2相当の言語能力の証明

CEFR(セファール。ヨーロッパ言語共通参照枠)は、言語能力の熟達度を測る国際的な基準です。

CEFR・B2は、専門分野の技術的な議論も含めて、具体的な話題でも抽象的な話題でも複雑なテクストの主要な内容を理解でき、お互いに緊張しないで熟達した日本語話者とやり取りができるくらい流ちょうかつ自然であるレベルです。(参考:文化庁「日本語教育の参照枠」の概要

そして、技人国の申請では、次に該当する場合、CEFR・B2相当の言語能力と認められます。

・JLPT(日本語能力試験)・N2以上を取得していること
・BJTビジネス日本語能力テストで400点以上を取得していること
・中長期在留者として20年以上日本に在留していること
・日本の大学を卒業し、又は日本の高等専門学校や専修学校の専門課程/専攻科を修了していること
・日本の義務教育を修了し高等学校を卒業していること

所属機関(勤務先等)

申請時に日本語能力の証明書の提出が必要なのは、カテゴリー3又は4の機関に所属している外国人です。

しかし、所属機関がカテゴリー1又は2に該当する場合であっても、審査の過程で資料の提出を求められる可能性があるようです。

要件変更の理由

日本語能力を証明する資料の提出を求めることになった理由は、なんでしょうか。

一部の報道によれば、技人国の在留資格を取得しながら、単純労働に従事する事例があったことを受け、入管が審査を厳格化したとされています。

工場での単純作業や飲食店での接客のみを行う業務などは、原則として技人国の対象にはなりません。

提出書類について

日本語能力の証明書

CEFR・B2相当の言語能力があることを証明するには、証明書の提出が必要です。

証明書を失くしてしまった場合は、試験団体に、再発行してもらいます。

再発行に時間がかかる場合や、再発行できない場合があるようですので、ご注意ください。

JLPT(日本語能力試験)>証明書の発行

BJTビジネス日本語能力テスト>成績認定書の再発行

提出しなくてよいケース

同じ業務を続けるときの更新許可申請

在留期間更新許可申請で、以前から継続して同様の業務内容に従事している場合は日本語能力の証明書は提出は不要です。

ただし、審査の中で、提出を求められる可能性はあります。

所属機関の代表者に関する申告書

2026年4月15日以降の申請から、カテゴリー3又は4に該当する場合は、「所属機関の代表者に関する申告書」(参考様式:入管サイトより)も提出することになりました。

これは、代表者が日本人や特別永住者以外の場合のみ、氏名と在留カード番号の記載を求めるものです。

在留外国人が日本で適法に就労しているかを確認する目的が推測されます。

企業・外国人が注意したいポイント

今回の要件変更により、主に言語能力を用いて対人業務等に従事する外国人については、日本語能力を客観的に証明できることが重要になりました。

採用を予定している企業は、求人や採用の段階で、日本語能力の確認が必要になるケースがあることを理解しておきましょう。

また、従事する業務が在留資格「技術・人文知識・国際業務」に適合しているか、学歴や職歴との関連性があるかなど、従来よりもしっかりと審査されるようになりました。

外国人を採用する企業は、採用後に在留資格の要件を満たさないことが判明しないよう、採用前の段階から業務内容や必要書類を確認しておくことが大切です。

在留資格申請は、企業だけ、あるいは外国人本人だけで進めるものではありません。

外国人本人も、日本語能力試験の受験や証明書の保管を計画的に行い、申請時に慌てることがないよう準備しておくと安心です。

まとめ

2026年4月15日以降、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の申請は、翻訳・通訳等、言語能力を用いて対人業務等に従事する場合、日本語能力に関する審査が強化されました。

特に、カテゴリー3又は4の機関では、日本語能力を証明する資料や「所属機関の代表者に関する申告書」の提出が必要となるため、従来よりも事前の準備が重要になります。

申請する外国人が担当する業務内容、日本語能力、採用理由などについて、企業と外国人の双方が十分に共有し、必要な資料を準備することで、申請は円滑に進みます。

事前準備を丁寧に行うことが、結果として余計な補足資料の提出や手続きの遅れを防ぐことにつながります。