お酒を輸入して販売するにはどのような手続きが必要ですか【酒税法、食品衛生法】
海外からお酒を輸入して、日本国内で販売したい。
どういう手続きが必要で、何の準備をしておいたらいい?
そのような疑問に、酒税法と食品衛生法に基づく輸入手続きを中心にご説明します。
お酒を輸入して販売すること
お酒を輸入して日本国内で販売するときは、通関手続きの他に、酒税法に基づく手続きと、食品衛生法に基づく手続きが必要です。
酒税法に基づく手続き
自分で輸入したお酒(酒類)を国内の酒屋等に卸売りする場合は、輸入酒類卸売業免許の取得が必要です。
自分で輸入した酒類を一般消費者等に販売(小売り)したいときは、酒類小売業免許(一般酒類小売業免許、通信販売小売業免許など)を取得します。
卸売りと小売りと両方を行う場合は、両方の免許が必要になります。
なお、自分で輸入した酒類を、自身が経営するバーや飲食店などで提供する場合(店内での飲用)は、酒類販売業免許は不要です。
次の記事が参考になります。
次は、食品衛生法に基づく手続きについて見ていきましょう。
食品衛生法に基づく手続き
食品衛生法に基づく手続き
販売目的で酒類を輸入しようとするときは、その安全性確保の観点から、食品等輸入届出書等を提出する必要があります(食品衛生法第27条)。
輸入(納税)申告書を税関に提出する前に、食品等輸入届出書等を検疫所に提出(検疫所一覧はこちら)します。
食品等輸入届出書は貨物到着の7日前から提出することができます。
提出等の事務手続きは、通関業者等による代理申請が可能です。
なお、自分で輸入した酒類を、自身が経営するバーや飲食店などで提供する場合(店内での飲用)も、この届出は必要です。
届出に必要な書類
「食品等輸入届出書」
生産国、製造者・製造所、品目、原材料、添加物の使用の有無、製造方法等を記入します。
(様式集:東京検疫所食品監視課サイト)
「原材料及び製造工程に関する説明書」
その他、必要に応じて、「衛生証明書」や「試験成績書」
※酒類の規格基準の概要についてはJETROのサイトが参考になります。
検疫所での検査
届出がされると、届出書に記載されている内容をもとに検疫所で審査がされ、検査の要否が判断されます。
・食品衛生法に規定されている製造基準に適合しているか。
・添加物の使用基準は適切であるか。
・有毒有害物質が含まれていないか。
・過去に食品衛生上の問題があった製造者・製造所でないか。
食品等輸入届出済証の交付
審査の結果、規格基準や安全性の確認が必要と判断されたものは検査が実施されます。
検疫所での審査や検査の結果、問題がなければ、食品等輸入届出済証が発行され、それを税関への輸入申告時、通関書類とともに提出します。
不適格と判断されたものは輸入できないため、輸入者は積戻しや廃棄等の措置を取ることになります。
不明・不安な点がある場合は、検疫所に事前相談を行うことができます。
輸入した酒類のラベル表示の届出もお忘れなく行ってください。
まとめ
今回は、お酒を輸入して日本国内で販売するときの手続きについて書きました。
ポイントです。
・自分で輸入したお酒(酒類)を国内の酒屋等に卸売りする場合は輸入酒類卸売業免許、一般消費者等に販売(小売り)したいときは、酒類小売業免許の取得が必要です。
・販売目的で酒類を輸入しようとするときは、その安全性確保の観点から、食品等輸入届出書等の提出も必要です。
お酒を輸入する際は、必要な手続き、免許、条件など沢山ありますので、関係する役所や専門家に相談するところから始めるのがよいでしょう。