亡くなった後の手続きや届出ってどんなものがあるの?(死後事務について)
親が亡くなったら、その当日や翌日、何をいつまでに準備したり手続きしたりしなければいけないの?
お通夜・お葬式・・・というのは、なんとなく分かるけど、それぞれどんな順番でどんな手続きをするの?
そのような疑問に、死後事務サポートを行う行政書士の私がお答えします。
亡くなる前後からの手続きについて、順番に見ていきましょう。
亡くなる前後から7日以内にやること
危篤から臨終
悲しみの中にいても、亡くなった後の準備が始まります。
・家族や身近な人へ連絡する
家族、親戚、親しい友人、本人が会いたがっていた人などに、連絡をします。
・葬儀社を検討する
亡くなった後すみやかに連絡を取り、遺体を搬送してもらう必要があるので、早めに検討します。
日頃から、ご家族とご本人とで相談して葬儀社を比較検討したり、エンディングノートに書いておいてもらうと、慌てることがありません。
臨終後すみやかに
・家族、友人、身近な人などへ訃報を知らせる
誰に連絡してほしいかを、ご本人にエンディングノートなどに前もって書いておいてもらうと、ご家族の判断の助けになります。
・死亡診断書または死体検案書を受け取り、遺体の搬送を葬儀社へ依頼する
死亡診断書は、医師が作成します。その後のいろいろな手続きで使用するので、大事に管理します。
遺体を搬送するときにも使います。
・通夜などの準備をする
葬儀社と、通夜・葬儀・告別式について打ち合わせをして、葬儀の形式、規模、予算、場所、日取りなどを決めます。
日取りが決定したら、親族等の関係者へ連絡をします。
7日以内に
・死亡届、火葬許可申請書を提出する
死亡届は役所に7日以内に提出しなければいけない書類です。
火葬許可申請書は死亡届と同時に役所に提出して、火葬許可証をもらいます。
火葬許可証は火葬場にを提出し、火葬場から火葬後に埋葬許可証をもらいます。
埋葬許可証は、納骨のときに必要です。
・通夜、葬儀、告別式、火葬を行う
信仰や宗派によって手順ややり方は異なります。
日程の例としては、①亡くなった当日 – 身内での通夜、②翌日 – 弔問客を受けての通夜、③3日目 – 葬儀・告別式・火葬、です。
なお、葬儀費や埋葬料等は、亡くなった方の健康保険から補助金が受けられる場合がありますので、領収書等は保管しておきましょう。
2週間から2か月以内にやること
2週間以内に
・世帯主変更届を提出する
世帯主が変更した日から14日以内に役所に提出します。
ただし、夫婦だけの世帯で、一方が亡くなったときは、変更届はいりません。
・健康保険証を返却する
国民健康保険や後期高齢者医療保険に加入していた場合は、14日以内に役所に健康保険証を返却し、資格喪失届を提出します。
・年金の受給停止手続
厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内に、年金事務所で手続きをします。
亡くなった方が受け取れなかった年金(未支給年金)の請求は、同じく年金事務所や、役所、年金相談センターで行います。
2か月以内に
・電気、ガス、水道、固定電話等の解約または名義変更
解約する場合は、手続きを忘れていると料金の請求や引き落としが止まらないので、注意します。
・携帯電話、クレジットカード等の解約
クレジットカードからの定期的な引き落としがある場合がありますので、手続きを忘れないようにします。
・運転免許証、パスポート等の返却
運転免許証の返却は、義務ではありませんが、パスポートは、返却をするよう求められています(外務省サイト)。
これら以外にも、解約すべきもの、名義変更すべきものがあるでしょう。
亡くなった方に届いている郵便物や、亡くなった後で届く郵便物などから確認することが重要です。
3か月から10か月以内にやること
いわゆる相続手続きを進めます。概要をご説明します。
・相続手続きに必要な戸籍を集める
不動産や預貯金などの名義変更を行うには、亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍と、相続人全員の戸籍等を集めて、相続関係を証明する必要があります。
・遺産の確認をする
不動産や預貯金、株式、証券、保険、高価な品物など、何があるか、確認します。
・遺言書の有無と内容を確認する
法務局に預けてない自筆証書遺言がある場合は、家庭裁判所での検認が必要です。
公正証書遺言を作成している場合は、原本は公証役場に保管されています。
・遺産分割協議書を作成する
遺言書がない場合は、基本的には遺産分割協議書を作成します。
法定相続人全員で、遺産の分け方を協議して、文書に残します。
・相続放棄、限定承認の申請をするなら、3か月以内
マイナスの遺産がプラスの遺産より多いときや、マイナスの遺産がどれくらいあるのかが分からないときは、相続放棄や限定承認を家庭裁判所に申請することができます。
参考になる記事はこちらです。
遺産を使用したり、処分したりすると相続を承認したものとみなされ、相続放棄や限定承認はできなくなるため、注意が必要です。
・相続税の申告は、10か月以内
3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
亡くなった方の遺産が、上の計算の額よりも多い場合は、税務署に、相続税の申告を行います。
まとめ
今回は、親など身近な人が亡くなった後の手続きや届出について、説明しました。
ポイントです。
・葬儀社の選択や、葬儀や通夜などの形態・費用などは、ご家族やご本人が、早めに相談しておき、エンディングノートなどに書いておくと、残されたご家族が手続きに慌てなくてよくなります。
・期限内にしなければいけない手続きが複数あるので、注意が必要です。
身近な方が亡くなられた場合、やるべき手続きは沢山あります。
亡くなった後の手続きをサポートしている行政書士などの専門家に、手続きの一部や全部の代行をご相談することができます。