株主総会はどんなに規模の小さな会社でも毎年開催しなければいけないの?
友人数名で株式会社を立ち上げ、もうすぐ一年目が終わる。
自分たちのような小規模の会社でも、毎年、株主総会を開催しなければいけないの?
簡単に開催したり省略したりする方法はある?
このような疑問に、法人設立支援を行う行政書士の私がお答えします。
なお、この記事は、小規模の株式会社(監査役も会計監査人も設置していない非上場株式会社)について書いています。
株主総会とは
株主総会
株主総会とは、株主によって構成される、会社の基本的重要事項を決定する機関です。
株式会社の機関とは、株主総会、取締役、取締役会、監査役等のことを指します。
株式会社を設立する際に機関設計をして、取締役会は設置するか、監査役は必要かなど考えますが、株主総会は必置の機関です。
そして、規模の大小に関わらず、全ての株式会社は、毎事業年度の終了後の一定の時期に、株主総会を開催しなければなりません。
この時に開催する株主総会を、定時株主総会といいます。
定時株主総会
定時株主総会の開催時期は、自社の定款で定めます。
毎事業年度の終了後3か月以内と定める会社が多いです。
議案の一つは、直近の事業年度の計算書類(貸借対照表、損益計算書等)・事業報告・附属明細書です。
その他の議案については、取締役会を置いていない株式会社は、株主総会で、会社法の規定する事項に加えて、株式会社の組織・運営・管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができます。
一方、取締役会を置いている株式会社は、会社法の規定する事項および定款で定めた事項に限り、株主総会で決議をすることができます。その他の事項は柔軟に取締役会で決議できるようにする仕組みです。
株主総会は、定時株主総会の他に、臨時株主総会があります。
臨時株主総会
必要に応じて開催するのが臨時株主総会です。
たとえば、定時株主総会の開催を待たずに、急いで定款の事業目的を追加したいときは、臨時株主総会を開催して決議を得ます。
株主総会の開催の仕方
株主総会の流れ
一般的な株主総会の流れは、次のとおりです。
開催日程等の決定(取締役) → 招集通知の発送 → 会場等の準備 → 株主総会開催 → 議事録の作成 → 登記申請
しかし、小規模の株式会社は、上場企業のような大規模な株主総会を開催する必要はありません。
たとえば、上場企業以外は通常は株主総会の開催日の1週間前までに招集通知を発送することになっていますが、株主全員の同意があれば、招集の手続をせずに開催することができます(会社法300条)。
また、株主総会の開催自体を不要にする、みなし決議という制度を採用することもできます。
みなし決議
株主の全員が、株主総会の議案を書面や電磁的記録で同意したときは、株主総会の決議があったものとみなされます(会社法319条)。
みなし決議、みなし総会などといわれます。
議事録の作成は必要です。
株主が集まらなくとも開催できる株主総会として、コロナ禍の今、みなし決議に注目する会社が増えているようです。
同じ理由で、バーチャル株主総会の開催も増えてきました。
バーチャル株主総会
コロナ禍において、会議やセミナーなどがオンラインで開催されることが非常に多くなりました。
株主総会の開催も(一部)オンラインで開催することが可能です。
バーチャルオンリー型株主総会(オンライン株主総会)
物理的な会場を設けずに、取締役や監査役等と株主がすべてインターネット等の手段を用いて株主総会に出席する形態です。
ただし、上場企業であることが要件となっていますので(参照:経済産業省サイト)、非上場の株式会社は採用できません。
ハイブリッド型バーチャル株主総会
物理的な会場を設けた上で、総会の場にいない株主についても、インターネット等の手段を用いて遠隔地からの参加や出席を認める形態です。
上場企業に限定されていません。
参照:ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド(経済産業省サイト)
まとめ
今回は、小規模の株式会社の株主総会について書きました。
ポイントです。
・規模の大小に関わらず、すべての株式会社は、毎事業年度の終了後一定の時期に、株主総会を開催しなければなりません。
・株主の全員が、株主総会の議案を書面や電磁的記録で同意したときは、株主総会の決議があったものとみなされる、みなし決議(みなし総会)を採用することが可能です。
・インターネットを利用したハイブリッド型バーチャル株主総会の開催も可能です。
株主総会の開催の仕方や手順は、法令に従うもの、定款や慣例にならうものなど、留意事項が沢山あります。
不明な点は、専門家に相談するなどして、正しいやり方で株主総会を開催しましょう。