「技術・人文知識・国際業務」ビザで、レストランの接客はできますか?

技人国ビザで接客業


留学生が日本の大学を卒業したら、自分の会社に就職してもらう予定で、「技術・人文知識・国際業務」ビザの申請を準備している。

通訳の仕事をしてもらう予定だけど、レストランでの接客も少しやってもらいたい。

「技術・人文知識・国際業務」ビザで、接客業はできる?

そうした疑問に、入管(出入国在留管理庁)の申請取次行政書士である私がお答えします。

「技術・人文知識・国際業務」ビザについて

事業所担当者

「技術・人文知識・国際業務」ビザでは、レストランでの接客はできないの?

みやぎ

「主な仕事」がレストランでの接客などの単純労働ではない場合、許可される可能性があります。


「技術・人文知識・国際業務」ビザとは

「技術・人文知識・国際業務」ビザは、就労ビザの一つで、日本の企業等との契約にもとづいて働くためのビザです。

省略して「技人国(ぎじんこく)」ビザといわれます。

英語では “Engineer/Specialist in Humanities/International Services” Visaといいます。

大学等で学んだ、自然科学の分野(理科系の分野)、人文科学の分野(文科系の分野)の専門的技術や知識を必要とする業務で許可されるビザです。


許可される仕事

「技術・人文知識・国際業務」ビザの対象となる仕事は、以下のようなものです。


自然科学の分野(理科系の分野)

「技術・人文知識・国際業務」ビザの「技術」にあたるものです。

たとえば、生産技術、研究開発、エンジニア、プログラマー、建築設計、システム管理などです。


人文科学の分野(文科系の分野)

「技術・人文知識・国際業務」ビザの「人文知識・国際業務」にあたるものです。

たとえば、経理、財務、総務、人事、法務、企画、商品開発、デザイン、マーケティング、広報、宣伝、通訳、翻訳、語学指導などです。


レストランでの接客業は、ここに含まれていません。

レストランでの接客業・清掃業・皿洗いなどは、学術的知識を使わない仕事・単純労働と考えられて、基本的には「技術・人文知識・国際業務」ビザの人はできない仕事なのです。

しかし、入管に許可されれば、「主たる業務」としてでなければ、できるようになる場合があります。

その条件について、次でご説明します。

ビザの範囲外の仕事をするとき

新人研修


レストラン経営などの外食業の会社は、新入社員研修の際、現場を一度経験してもらうために、事務スタッフにもレストランでの接客を取り入れるところもあると思います。

その場合は、「技術・人文知識・国際業務」ビザの外国人の方も、以下の要件をみたして、入管に認められれば、レストランでの接客などの単純労働もできるようになります。

実務研修の一環であること

日本人を含めた、他の新入社員と同様に行う実務研修の一環として行うものであること。

「技術・人文知識・国際業務」ビザは、日本人と同等額以上の報酬を受けることが要件の一つになっているように、実務研修についても、日本人と同じようにという趣旨です。

在留期間の大半を占めないこと

予定している在留期間の大半を占めないこと。

基準となる期間は、一回の許可ごとに決定されるビザの在留期間(3か月~5年)ではなく、日本で今後どれくらい就労するかの期間です。

つまり、今後、相当期間(長期)日本で働く予定の外国人の方が1年間の実務研修をするのは認められる可能性があります。

しかし、日本で働く予定期間が3年くらいの外国人の方が、2年も実務研修をするのは認められないことになります。

研修計画書を提出すること

外国人を採用する事業所は、ビザ申請時に入管から、入社後のキャリアステップや具体的職務内容についての書類の提出を求められることがあります。

実務研修で行う接客業等について、日本人社員との差が設けられていないこと、合理的な理由がある業務であること等をここで示します。


以上の要件をみたし、きちんとした理由があると入管に認められれば、「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得して、実務研修時にレストランで接客業を行うことができるようになります。

まとめ

ポイント解説


今回の記事では、「技術・人文知識・国際業務」ビザで、レストランでの接客業が行えるかについて、ご説明しました。

ポイントは以外です。

・「技術・人文知識・国際業務」ビザで許可される業務は、大学等で学んだ、自然科学の分野(理科系の分野)、人文科学の分野(文科系の分野)の専門的技術や知識を必要とする業務。

・レストランでの接客業など、学術的知識の不要な、単純労働とみなされる仕事は、基本的にはすることができない。

・しかし、新入社員研修の実務研修で、長期間でなければ、ビザで許可されていない単純労働等をすることが認められる可能性がある。


外国人の方を雇用する事業者の方々には、ビザの性質や注意点をご理解して、採用していただければと思います。

ビザは種類が多く、制度や法律が頻繁に変わりますので、ご不明な点は申請取次行政書士などの専門家にご相談ください。


※「留学」ビザから「技術・人文知識・国際業務」ビザへの変更手続きについては、出入国在留管理庁のこちらのページをご参照ください。