数年前に父が亡くなりましたが、仕事や家事で忙しく、遺産分割協議をしていません。
遺言書もなく、遺産はそのままになっているはずです。
相続人は、母と私たち子ども(兄弟)だけです。
何もしないでいるとどのような問題が起きるでしょうか。
遺産分割協議のこと
遺産分割協議とは
亡くなった家族が遺言書を作成していない場合は、遺産分割協議を行う必要があります。
相続人全員で協議をして、遺産の分け方を決めます。
法定相続分とは異なる分け方にすることも可能です。
遺産分割協議に期限はある?
遺産分割協議に期限はありません。
遺産分割協議をまだ行っていないのであれば、亡くなってから数年たった今も行うことができます。
遺産分割協議を何年も行わないと
遺産分割協議を何年も行わないでいると、次のような不具合が起こる(起こっている)可能性があります。
新たな相続が始まり手続きが複雑になる
例えば、父親が亡くなった後、遺産分割を行う前に、母親が亡くなってしまった場合。
さらに、その後も何も手続きをしないまま、長男が亡くなってしまった場合など。
新たな相続が始まるたびに、新たな相続人が現れるので、手続きがどんどん複雑になっていきます。
不動産の名義変更ができない
遺産に不動産(土地・建物)があった場合は、遺言書がない場合は遺産分割協議書がなければ、名義の変更ができません。
名義の変更ができなければ、不動産の処分や管理を正しく行うことができません。
相続税不払いによる延滞金等
相続財産が「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」より多い場合は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に相続税を支払わなければいけません。
遺産総額を調べておらず、遺産分割協議も行っていない場合は、支払が必要な相続税を納めていない可能性があり、利子や延滞金が課されることがあります。
預貯金の口座の凍結等
遺産分割協議が終わるまでは、亡くなった人の口座は凍結したままで、金銭を全く引き出せない状態にある可能性があります。
銀行は、口座の名義人が亡くなったことを知ったとき、その口座を凍結します。
口座の金銭を相続した人以外が金銭を引き出してしまうようなトラブルを避けるためです。
逆に、亡くなった人の口座が何年も凍結されないでいると、特定の相続人が、遺産分割協議の前に自由に口座から金銭を引き出せる可能性があり、他の相続人の不利益につながることもありえます。
相続人間の揉め事に繋がりかねません。
まとめ
遺産分割協議を数年も行っていない場合は、次のような不具合が発生する可能性があります。
・新たな相続が始まり、新たな相続人が生まれて、手続きがどんどん複雑になります。
・不動産の名義変更ができず、不動産の処分や管理を正しく行うことができなくなります。
・支払いが必要な相続税を納めていない場合、利子や延滞金が課されます。
・亡くなった人の預貯金口座が凍結したままになります。
遺産分割協議を何年も行っていない相続がある場合は、相続人同士で、まずは現状の確認から始めて、遺産総額や誰が相続人かを調べて、遺産分割協議を行いましょう。