日本で働く外国人の転職組を採用するときの手続きには何があるの

外国人の転職について

日本で働く外国人を中途採用するときの注意点はなんだろう?

必要な手続きにはどんなものがあって、誰が、いつ迄にやればいいの?

そのような疑問に、申請取次行政書士の私がお答えします。

働くためのビザ

日本で働く外国人のビザについて

日本で働く外国人は、就労を許可されたビザをもって働いています。

就労ビザはたくさん種類がありますが、ビザによって、許可される業務内容が異なります。

たとえば、「技術・人文知識・国際業務」のビザは、エンジニア、プログラマー、建築設計、経理、広報、通訳などの仕事に就くことが許可されています。

また、「経営・管理」のビザでは、貿易その他の事業の経営や管理業務が許可されています。


就労ビザではなく、身分系のビザ(「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者」等)の人も日本で働くことができます。

身分系のビザは、配偶者等といった身分にもとづいて日本での在留が許可されているビザであり、日本での仕事の範囲に制限がありません。


企業等は、まず、雇い入れようとしている外国人がどのようなビザをもち、どのような仕事をすることが日本で許可されているのかを確認することが重要です。

ビザの確認

外国人の在留カードを確認すると、在留資格(ビザ)の「種類」と「期限」がわかります。

在留カード見方
入管資料参照)

転職後に従事する業務が、ビザで許可された業務と異なる場合は、在留資格(ビザ)の変更手続きが必要です。

また、在留期間の残りが6か月未満なら、在留資格(ビザ)の更新手続きの準備を始めます。

変更手続きも更新手続きも、企業側で用意が必要な書類がいくつかあります。

ビザの変更

現在保持しているビザで許可されていない業務に就く場合は、ビザの変更が必要です。

例えば、「教育」ビザで中学校の英語教師をしていた外国人が、転職して、ある企業で通訳翻訳担当として働く場合は、「技術・人文知識・国際業務」に変更する必要があります。

なお、ビザの変更許可を受けた後でないと、転職後の仕事をすることはできませんので注意が必要です。


また、外国人のビザが「高度専門職」と「特定活動」の場合は、転職前後で同じ業務に就く場合であっても、ビザの変更手続きが必要な点も注意が必要です。

ビザの更新

現在保持しているビザで許可されている活動と同じ業務に就く場合で、在留期間の残りが6か月未満である場合は、更新申請の準備をしましょう。

6か月未満は一つの目安ですが、ビザの更新申請は、在留期限の3か月前から可能ですので、更新に必要な書類の準備を始めます。

更新申請が期限直前になってしまった場合は、入管から更新許可をもらう前に、在留期限が来てしまうかもしれません。

その場合は、「許可・不許可の決定が行われた日」または「在留期限から2か月経過した日」のどちらか早い日までは、それまでのビザで日本に居ることが可能です(特例期間といいます)。

就労資格証明書

外国人が新しい勤務先で従事する業務が、現在保持しているビザで許可された活動であることを証明する書類に、就労資格証明書というものがあります。

ビザの在留期間の残りが6か月以上あり、ビザの更新手続きがまだ先になる場合は、就労資格証明書を申請することも一つの方法です。

就労資格証明書の交付申請は、必須ではありませんが、入手しておくことで、外国人も企業等も安心して雇用関係を結ぶことができますし、ビザの更新の時に審査がスムーズになると言われています。

機関変更の届出

届出の締切注意

ビザの種類や期限に関係なく、転職するとき、該当する外国人は、転職後14日以内に必ず「活動機関に関する届出」または「契約機関に関する届出」をする必要があります。

届出の方法は、最寄りの入管への持参・郵送・電子届出という方法があります。

活動機関に関する届出

届出を行う外国人

以下のいずれかのビザをもつ人

「教授」、「高度専門職1号ハ」、「高度専門職2号」(ハに従事)、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「教育」、「企業内転勤」、「技能実習」、「留学」、「研修」


届出が必要なケース

・活動機関の名称や所在地が変更したとき
・活動機関がなくなったとき
・活動機関から離脱や移籍をしたとき

契約機関に関する届出

届出を行う外国人

以下のいずれかのビザをもつ人

「高度専門職1号イ」、「高度専門職1号ロ」、「高度専門職2号」(イ又はロに従事)、「研究」、「技術・人文知識・国際業務」、「介護」、「興行」、「技能」


届出が必要なケース

・契約機関の名称や所在地が変更したとき
・契約機関がなくなったとき
・契約機関との契約が終了、または新たな契約の締結があったとき

中長期在留者の受入れに関する届出

外国人を受け入れる側(企業や大学など)が、受入(転職)後14日以内に行う、「中長期在留者の受入れに関する届出」というものもあります。

しかし、この届出は、雇用保険の被保険者となる外国人を受け入れ、その手続きを行う場合や、外国人雇用状況届出書を提出する場合は、不要な手続きです。

まとめ

今回は、日本で働く外国人を中途採用するときの手続きについて、書きました。

ポイントです。

・雇い入れようとしている外国人の在留カードを確認して、ビザの「種類」と「期限」から、どのような手続きが必要か確認しましょう。

・現在保持しているビザで転職後も働けるのか、ビザの変更や更新をする必要があるのか、確認が必要です。

・転職後14日以内に、機関変更に関する届出を行うこと(外国人に行わせること)を忘れないようにしてください。


ビザの変更や更新の必要性や手続書類は、複雑な部分があります。

ご不明な点があるときは、入管への代行手続ができる申請取次行政書士にご相談ください。